銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

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女子の4回転…技術が進化するのはいいけど…。

オリンピックが終わったと思ったら、つい先日ロシアの10代の女子選手が何と

4回転を成功させたと。

新聞には「大絶賛」の嵐だった…ようなことが書かれていたけれども…。

 

いや、素晴らしいよ、実に。

常に先を行く、フィギュアスケートも「スポーツ」であることの証でもあり、大技に挑戦するというのは、アスリートならではとも言える。

…うん、凄いんだが…。

私は、ひとつ懸念に感じていることがある。

今回4回転を成功させたロシアの選手は10代の若手選手であって、女子には必ず思春期の体の成長というものがあり、ほぼ9割方の選手がこの「成長期」を鬼門としてしまっているのを過去に何度も見てきた(メディアを通じて)。

10代で成功させたのは、ある意味「成功させられるべく」して成功したとも言えるのではないかとも。

これが、20代になってどのように体が変化し、また、心も変化していくのか…。

この時、再び4回転を成功させることが出来たら、それはもうお見事としかいいようがない。脱帽ものである。

 

しかし、その若くして成功させた光と影ともいうべきか、かつてビールマンスピンを考案した、デニス・ビールマンは、極度に腰をそらせるそのスピンに、その後腰痛に悩まされたと言う。(今ある技として習得するのと、何度も何度も新技とすべく考案していくのとでは、その難しさは比ではないだろう。)

また、15歳でオリンピック金メダリストとなった、タラ・リピンスキーは、その後股関節痛に悩まされ、早くに現役を引退した…のではなかったか。

 

男子の4回転がどんどん加熱していくが、今度は女子までが4回転か…。

スポーツとして進化していくのは、大変喜ばしいことであると同時に、あまりにも体を酷使するような状況が続けば、いずれ時を経て、体が悲鳴をあげることになりはしないだろうか?

 

昨今の過熱気味とも言える高難度技のぶつかり合いに、老婆心ながら、「時を経た時の体の悲鳴」が気がかりで仕方がない。

バンクーバー五輪の頃は今の逆で、スポーツと言うよりは魅せる方に重点が置かれてきた感がある…それはそれで、ちょっと問題ありだなと思ったのだが、今は今で魅せるということが少し後ろでになっているように感じる。)

 

高得点を稼ぐために、そのルールの中で選手は出来る限りのことを懸命に行っているだけなのだが、将来の体をいたわるべく、何らかの「ルール」が必要な時代に差し掛かっているのかも知れない、ふと、そんなことを感じた。

 

追記:今回の報道の際に、何だっけな…伝説的スケーターっていう表現だったか忘れたが、タラ・リピンスキーのコメントを紹介していたが、日本のメディアなら忘れないで欲しいスケーターがいる。

伊藤みどりだ。

伊藤みどりのジャンプの凄さを今の若手記者たちはご存じだろうか?

今のスケーター達には申し訳ないが、私は今日に至るまで、伊藤みどり以上のジャンプが跳べる女子スケーターを、未だかつて見たことがない。

トリプルアクセルの申し子と言えば、浅田真央の以前は伊藤みどりがいた。

小柄ながら、そのジャンプの大きさ、飛距離、今で言えば満点の加点がもらえるんじゃないかな?男子選手が、「みどりが男子じゃなくて助かった…」と言ったという逸話さえあるほど、彼女のジャンプは素晴らしかったのだ。

日本のメディアの皆さん、タラ・リピンスキーを引き合いに出すなら、どうか伊藤みどりもよろしく!