銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

スポナビ+ブログから引っ越してきました。

高橋大輔 -周囲の愛情に支えられた復活劇-

昨日から、サッカーのワールドカップが始まった。

昨夜は睡魔に負け、南アフリカ×メキシコ の試合を観戦出来なかったけれど、可能な限り、「世界の祭典による最高のプレー」を目に焼き付けたい。

と、いうわけで、ここ何日かは、「本職」(?!)であるフィギュアスケートのブログ記事を書いていなかった…けれども…岡田ジャパンの試合が始まる月曜日までに、ひとつ書いておきたい 高橋大輔

昨夜、TBS系列「金スマ」で、大輔を特集していた。

ファンのみならず、今更感があるかも知れないけれど、人は時に「振り返る」作業が必要になることがある。記憶というものを、より鮮明にするために…。感謝の気持ちを忘れないために…。初心を忘れないために…。

高橋大輔は、男4人兄弟の末っ子として産まれた。泣き虫で弱虫だった。

どんなスポーツを進めても、「僕、ムリ」と言って続かなかった。

そんな中、誘われて行ったアイスホッケーを断念した横で、フィギュアスケートの練習風景を見て、直感で「これだ!」と感じ、以来フィギュアスケートにはまっていく。

想像を絶するほど、お金がかかる中、母親は昼も夜も働き、母親が勤めていた理容室の「お姉ちゃん」は、時に母代わりとなって、実際の姉のように、献身的に、大輔を支えた。

理容室の近所のおじちゃん、おばちゃん、店の常連さん…たくさんの方々が、「これ、大ちゃんに」と言って、理容代のお釣りを寄付したり、練習場への送り迎えをしてくれたり、フィギュアの費用を捻出するため、より忙しくなった母親に代わり、大輔は、本当に周囲の人間に良くしていただいた…と、いうもの。

番組では、というより、いつしか「触れられなく」なったことに、ニコライ・モロゾフ(元コーチ)の存在がある。

詳細をあえて述べないが、ニコライの存在なくして、現在の高橋大輔は、あり得なかった…個人的には、そう捉えている。

勿論、幼少の頃から師事している現在の「長光歌子」コーチは、大輔を語るにとても大切な存在であることに、間違いない。

ただ、「表現力」をここまで磨きあげることになったキッカケは、やはりニコライだろう。

ニコライは、「かつてのアレクセイ・ヤグディンを彷彿とされるものが、大輔にはある。引き出しをたくさん持っている」と、後に語っている…が、諸事情により、ニコライと離れ、再び長光コーチと歩んできた。

困った時や苦しい時に、必ず誰かが現れてくれる…支えてくれる…。

大輔は、そう答えている。

念力が強いというのか、潜在能力の強さか、あるいは、泣き虫で弱虫だったからこそ、ピュアな心もいまだ持っているためか、そのピュアさが、「心の実現」に、一役かっているのかも知れない。

大怪我する前の大輔を見て、「あんまり好きじゃなかった」、「ちょっと、なった気してる感じがあって…」…そう答えていた私の周囲の人間も、復帰後の大輔を見るに、「うまくなった」、「表情が前と全然違う!顔つきよくなったね」

人は、苦しみ、辛さ…試練を乗り越えて、初めて、「顔」にも表れる。

愛情面でも金銭面でも、周囲の人間に支えられてきた高橋大輔は、氷上の演技だけでなく、人間味も、一回りも二回りも大きくなった。

自分ひとりだけで、一体何が出来るというのだ。

一般企業で出世している人も、自分ひとりで偉くなどなってはいない。

人に対する感謝の気持ち、思いやりを忘れず、人としてもスケーターとしても、更に飛躍して欲しい。

〜追伸〜

日本が世界に誇るバレエダンサーの熊川哲也氏に、番組中、大輔の身体が固いことを指摘されていたが、復帰後は前に比べて、相当柔らかくはなり、スピンやステップに輝きを増したわけだけど、まだまだ…固いようで(苦笑)。

大輔〜、ファイト!!