銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

スポナビ+ブログから引っ越してきました。

ファイナル — 男女ともに意地をかけた戦い —

最後は男も女も、意地とプライドをかけた戦いだったと私は感じました、、、。

今季グランプリシリーズの頂点を決める「ファイナル」も、昨日フリーを終えて、女王と王者が誕生。

アリッサ・シズニー ・・・素晴らしいスピンを持ちながらも、なかなか芽が出なかったシズニー選手、ようやく「女王」の座を手に入れたのは、他でもないシズニー選手の「意地と努力」—静かなる闘志—の賜物であることは、間違いない。以前も書いたような気がしますが、「癒される演技」とはこういう演技を言うのだろうな…素直に、そう思える美しいスケーティングでした。素人の私や家族にも、十二分に伝わる素敵な演技…性格もいいんじゃないかと思える程、清々しい空気が、会場にいなくともお茶の間でも、確実に感じられました。母曰く「どこかの王妃みたいだね。歯も白くて綺麗!」…演技構成点に影響するかは知らないけれど、やはり見た目の美しさ(歯並び、メイク、コスチューム、スタイル等々)も、美を競う部分もある競技なれば、大事な要素のひとつと言えるのかも知れません。

優勝、おめでとうございます!

カロリーナ・コストナー ・・・総合成績は、村上佳菜子選手と「0.01点差」の2位。ジャンプの難易度やプログラム構成等、まだまだ課題はあるでしょうけれど、今のコストナー選手にとって必要だったのは、「自信を取り戻す」ことだったのではないでしょうか。今の自分に出来得る最大限のことをしたのだろうと、勝手ながら思います。僅差で村上選手に勝ったのも、コストナー選手の「意地と努力」そして、ちょっとだけフィギュアスケートの神様が、村上選手よりコストナー選手を後押しした…ということかも知れません、、。来季も現役続行ならば、もっと心揺さ振られるような演技を見せて下さいね。

村上佳菜子・・・シニアデビュー1年目の成績としては、上出来でしょうね。私の家族も言いますが、流れるような滑らかなスケーティングには、まだまだ程遠い。今はまだ、力でスケーティングしている段階でしょう…それが、技術でスケーティングが出来るようになると、演技構成点だって恐ろしい点数になること、間違いない。

まだまだ荒削りな感は否めませんが、とにかくスピードがある、勢いがある、ジャンプがダイナミック。難易度はともかく、2連続3回転ジャンプ(トリプルトウループトリプルトウループ)を、あぁもダイナミックに決められると、そりゃ点数つきますわ。僅差でコストナー選手に2位の座を渡してしまったのは、「今は3位で良い。世間の厳しさをもっと知りなさい。」という、親心神心(なんだ、そりゃ〜笑〜)なんだと思います…。「意地」のある選手です。また違う花を咲かせるべく、虎視眈々と機会を狙っていることでしょう。

3位、おめでとう!

鈴木明子・・・悔しいっすね。演技構成点に「華」も影響されるのだとしたら、、ファンの私が言うのも心が痛いが、決して「華」のあるタイプではない。メディア受けする「華」を残念ながら持ち合わせてはいない…けれど…鈴木選手の「地道な努力と意地」でもって、ここまではい上がってきたことは事実。鈴木選手が愛すべき人柄だろうことは、スケーティングを見ていれば如実に伝わってくるだけに、悔しくて堪らない。けれど、必ず「底意地」を見せつけて欲しい。乗りに乗ったアッコちゃんのステップがどれだけ鳥肌ものかということは、アイスショーで「生観戦」した私にはよく分かる。不思議なまでに、肩入れしたくなる鈴木明子…「華」はないかも知れないが「花」を咲かすことなら出来る!

次へ、Never give up!(フリーのコスチューム…白は白でも、ちょっと映えない白なんだなぁ、、オフホワイトじゃなくて、もっと氷に映える白にして欲しい…。)

安藤美姫・・・今、安藤選手のフリープログラムに打ち勝てるプログラムを携えている選手は、浅田真央選手以外には、恐らくいないんではないかな…。正直、「ジャンプ中心」のプログラム構成の印象が強い。それだけ、ジャンプの印象が強く残るプログラムだということ。演技中盤から後半にかけて、ジャンプを大量に仕込む…かなりのバクチでしょう…安藤選手の状態がいいと判断したニコライコーチの作戦だと思いますが、逆の見方をすれば…今季ルールでは、ニコライコーチの従来のやり方では「勝てない」。なら、一層のことジャンプ飛んでしまえ…今季ニコライは勝負に出るだろうとは思っていましたが、ただ、ソチ五輪までもつかな?

見方は違うかも知れないけれど、私もニコライ・モロゾフには「限界」を感じている一人です。彼の門下生である「バレンティナ・マルケイ」選手—彼女の今季ショートプログラムの振り付けが、驚く程、安藤選手の今季ショートプログラム(変更前)の振り付けに、よく似ているんですよ。同じ大会に2人が参戦していた時、諸に感じました。安藤選手を見ていて、日頃のインタビュー等の受け答えには、好きになれない部分はあるけれど、「スケーター」としての安藤美姫は、まだまだ開花出来ると思っているし、素質は十二分にあると思います。それだけに、あまりにニコライコーチに執心するのも、どうなんだろう…素人の私が勝手に余計なお世話なんだけど…いくら、日本スケート連盟がコーチ変更を打診したとしても…安藤選手は絶対に変えない。残念ながらと言っていいかは知らないけれど、スケーターとして高みにいくことより、いかに「今を生きるか」…今の安藤選手には、それが最大の自分が自分らしくいられる環境なのだろうと。「信頼できる人を見つけて強くなれた」安藤選手は、ニコライコーチと袂を分かつことは、おそらく有り得ない…。有り得ないよねぇ、、。

パトリック・チャン・・・素人目には、なかなか「良さ」を理解し難い選手かも知れません。スケーティングは素晴らしい。舐めるように技術でスケーティングしていく…ジャンプを転倒した時、彼だけじゃないですかね、すっくと何事もなかったかのように立ち上がる…転んでから立ち上がりスケーティングし始める「時間」が、まずアッという間…なんです。磁石でもついているんじゃないかと思える程。これは、基礎がしっかりしていて筋力があるからこそ出来るんでしょうね、、。ファイナルでは、正に「意地」を見せ付けたのかも知れません…「転んでも金メダルとは言わせない」と、、。

残念ながら、私はチャン選手の演技に、心揺さ振られることはないんですが…(汗)。チャン選手というより、コーチであり振付け師でもある「ローリー・ニコル」女史の作戦勝ちと言える気がします。現採点方式を発案したメンバーに彼女の名前もあるそうです。ジャッジに講習会をする程、熟知している…となると、むしろ「勝てなきゃおかしい」ってことですね。鉄板プログラム作りは、お手のものというわけです。それをチャン選手が忠実に体現した…しばらく、チャンの時代が続くのかな?

織田信成・・・またしても、やっちまった。どうもフリーで転けてしまう。ショートであれだけ、素晴らしい演技をしていたのですが、フリーでは申し訳ないけれど、「輝き」がショート程ではありませんでした。既に顔が緊張していた…フィギュアスケートは最終的に「メンタル勝負」だとよく言われますが、本当に…。もったいない取りこぼしをなくし、緊張感にうまく身を委ねることが出来れば、織田選手は最強になれるはず。質のいいジャンプをもっと世界にアピールして欲しい。

2位、おめでとう!

小塚崇彦・・・ショートに引き続き、顔から身体から「緊張感」で一杯の小塚選手。最近あまり見たことがない程…。でもこれは、単に緊張していた緊張感ではないでしょう。練習で高橋大輔選手と激突してしまったことが、彼の心を大きく支配していた様子。性格の良さを感じさせる誠実なスケーティングに見えるように、実際も小塚選手は性格が良いと評判らしい。それだけに、自分とぶつかってしまったせいで、大輔選手を表彰台から遠ざけてしまった…と、誰より、小塚選手自身が「責任」を感じているに違いない…見ていて、気の毒な程でした。抱き締めてあげたくなる程に、、、。

大丈夫。小塚選手のせいではありません。誰もあなたを責めたりしてないし、責めるのは筋違いというもの。勝てる選手は何があっても勝つ!たまたま、大輔選手に試練が与えられたに過ぎない。あまり気にせず、銅メダルを持ち帰ってきてね。

3位、おめでとう!

高橋大輔・・・メディアの前では、ホントに「言い訳しない」選手。本当は、転倒した衝撃がかなり身体中にきているらしいですが、弟分の小塚選手を気遣い、一切言い訳せずに、棄権もせずに試合に挑み、事実を受けとめる…。「腰が、、背中が、、」決して試合後のインタビューでは言わない。これも「意地」。フリー演技直後は、言葉を発しないベールが彼の瞳を覆いつくしていました。素人には想像し難い程、ケガ回復後の稼働域が広がった膝や関節の扱いの難しさ…加えて、今回の練習中の激突…世界選手権終了後も、まだまだ、現役を退くわけにはいかないですね。あなたの「パーフェクトプログラム」を、まだ見ていないですから、、。

日本人選手と表彰台の選手のみ、簡単にまとめました。ショートプログラム放送時より、フリーでは「音」もよく聞こえたように感じます。

今更ながら思うことは、浅田真央キム・ヨナ…この2人はやはり「次元」が違うなと。色々批判されもしましたが、キム・ヨナ選手には「華」があること、やはり認めざるを得ません。浅田真央選手とは違う「華」が…。村上佳菜子選手と同じ年齢の頃には、恐ろしいまでの「色っぽいスケーティング」をしていたことに、目を見張ったことを思い出しました。まだまだ純粋にスケートを追い掛けていたと思われる時期ではありますが…。(今は、どこかヒール役を敢えて買って出ている印象が、微妙に感じられる…気のせいかな…?)

この2人以上の選手は、当分出てこないでしょう・・・。来年の世界選手権に果たしてキム・ヨナ選手は参戦するのか…気になるところではあります。が、願わくば、実力でヨナに打ち勝つ浅田真央を見たい!いつの日か、必ずリベンジして欲しい…。

首を長くして、待っています。だから、真央ちゃん焦らないでね。

ファイナルの舞台が何故、中国だったのか分かりませんが、来季はもう少し盛り上がって欲しいですね。