銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

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“愛され始める”浅田真央 — パープルの光 —

タ、ターン、ターン、ターン

タタータターン、タターン ・・・

旋律が流れ始めた途端、「表情」に乏しいと言われていた浅田真央が、驚くほど、“自然体な笑み”を浮かべながら、台北の地において「愛の夢」を演じ始めた。(この時、表彰台は確実であることを、私は確信した。)

愛の夢:3つのノクターンとも言われているそうだが、浅田が演じるのは「第3番」。

変イ長調 「おお、愛しうる限り愛せ」

現代において、リストの愛の夢と言えば、ほぼ第3番を指していると言う程、第3番がポピュラーになっているそうだ。

元は、恋愛のことではなく「人間愛」を表現したものだとの説がある。

浅田真央の演技は・・・

時に、シャボン玉が弾けるようで、

時に、身体から音符が飛び出るようで、

時に、女神が降臨したかのような神々しさで、

時に、ストイックなまでに哲学者のようで、

かつて

天真爛漫に楽しげにリンクに躍り出ていた浅田真央が、少しずつではあるが、恐ろしい程の短期間で、私達に「進化」の過程を披露してくれている。

高くて

軸がぶれず

着氷もしっかりと

クリーンな

あんなトリプルアクセルを、浅田真央が披露してくれるとは。

明らかに、今までの浅田真央トリプルアクセルとは違う。

そして、

四大陸選手権で初めて見せた「スケート靴」。

今までは、タイツで隠していたが、ショートプログラムでもフリーでも、スケート靴を、初めて、見せた。

メイクも、昨季までとは比べものにならない程、上達している。それは、安藤美姫も同じだ。彼女も、別人かと思う程、メイクやコスチュームが「上品」になっている。安藤美姫ショートプログラムのコスチューム(白×ピンク)は、若い女性にも支持されている。

浅田真央の今季のメイクは、素肌美を活かしながらより美しく、品も兼ね備えたメイク。研究したのだろう。ここにも、努力の証が見える。

その品あるメイクと、フリーで着用する淡いパープルのコスチュームが、より顔色を引き立たせている。

昔から紫を着こなすのは難しいと言われる。下手をすると、品がなくなるからだ。

しかし、愛の夢を演じる時の浅田真央のコスチュームは、紫は紫でも、淡いパープル。とてもよく似合っている。

所々手直ししたプログラム構成、良かったのではないだろうか。

フリーのエンディングで魅せたスパイラルには、意表を衝かれた。

各選手の持ち味を引き出した振り付けをすることには、絶大なる信頼を受け定評のある、ローリー・ニコル女史。素晴らしいと言わないわけには、いかない。

ショートプログラムでは感じなかったが、フリーでは、何かが降臨しているんじゃないか・・・そう、思わせる程、四大陸選手権での、浅田真央は美しかった。

淡いパープルの光は、優しく会場を包み込んでいた。

浅田真央・・・

間違いなく、ソチ五輪では「歴史を塗り替える」演技を披露するだろう。

必要以上に、トリプルアクセルに拘り続け、クレージーとも言われた浅田真央だからこそ、“非常識は時に常識を超える”

最後は「偉業」を成し遂げるに違いない、、、。