銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

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真央と小塚の“相乗効果”に期待 — 来季 —

浅田真央小塚崇彦の2人が主となり、被災地にて“無料”のアイスショーを計画しているようだ。

被災者を優先的に招待する予定で、場所は盛岡や八戸が候補にあがっているらしい。

今季、浅田真央は佐藤コーチに師事し、目下、基本をしっかりと復習及び修復、改善をしている最中だ。

「何で、シーズン入ってから、そんなことするの?」

いつからシーズンが始まるかは決まっているだけに、一般には何故シーズン中に、そのようなことをするのかが、不思議で仕方ないようだ。

確かに、「納期がいついつだから、・・・そうすると、いつまでに完成させなきゃいけない」というように、一般社会なら納期に合わせて、作業日程を調整するのが、“当然”の約束となっている。

しかし・・・、

スポーツ界の場合は、どこに照準を合わせるかによって、調整の仕方が異なってくる。勿論、「毎年」の各大会を大切にし、都度照準を合わせるのは当然であり、各選手もそうしているはず。

浅田真央においても、目前に迫る大会のどれをとっても、大事な大会という認識で取り組んできたことは、間違いないと思われる。

しかしながら、バンクーバー五輪で悔しい銀メダルを獲得した浅田は、納得いく演技がしたいがため、自ら「一からやり直す」決断をして、今日まできている。誰に言われたわけでもなく、浅田真央が自ら決めたことだ。

表現力に乏しいと言われるのは、何より“自ら”が感じていることだと、私は思っている。何故なら、フィギュアスケートという、技術と表現力を競うスポーツを選択した以上、「技術だけではいけない」「表現力だけではいけない」ということは、そのスポーツをやる以上、自覚していると思われる。逆に言えば、自覚していない人間は、トップにはなれない。

ただ、人間には“得手不得手”がどうしても混在するもの。

不得手な部分を補うには、得手な部分を伸ばしていく・・・これも、不調の時には大事な手法のひとつだ。

浅田真央程の“天才スケーター”と言われる人間を指導するのは、容易いことではないように思う。下手をすれば、「コーチ生命」にも関わる。

昨年シーズン途中から、佐藤コーチに師事したのは、シーズンに入っていることを思えば、遅かったかも知れない。おそらく、コーチの引き受け手がなかなか見つからなかったのかと思われる。

しかし、浅田真央の“目標”は、「五輪で金メダル」にあるはず。

“毎年のシーズン”というスパンで見たら、「何でシーズン中に改善?」と思われるが、浅田真央は来たるソチ五輪に照準を合わせている。

ソチ五輪に照準・・・ここに照準を合わせているはずだから、作業日程に何も“無駄”なことや“無理”なことはない。まだ、時間は充分にある。

その浅田真央が、佐藤門下生となったことで、浅田と反比例するかのように、めきめきと腕をあげていったのが、言わずもがな、小塚崇彦である。

確か、小塚は一人っ子で、甘えん坊なところがあったと聞いている。その小塚が、「練習の虫」と言われる浅田の、ストイックなまでの練習ぶりを見て、自ずと発奮したそうだ。

サラブレッド”である小塚は、その潜在能力たるや、高橋大輔織田信成をはるかに上回るものを持っていると、以前から言われていたが、なかなか“芽”が出なかった。

ところが、昨年、今年と、2010年度シーズンは、大きく飛躍した。世界に、小塚崇彦の名前を刻んだ1年だった。

表現力は、まだまだ控え目だったり、照れが見られる部分はあるものの、決して、パトリック・チャンにも引けをとってはいない。

甘えん坊の小塚が、悩めるひとりの“天才スケーター”浅田真央との出会いにより、一回りも二回りも、人としてスケーターとして、著しい成長を遂げるキッカケとなったのは、間違いない。

今度は、小塚崇彦の存在が、浅田真央を人としてもスケーターとしても、大きく飛躍させる糸口となってくれたらと思う。

技術や振りを指導するのは、コーチの役目だが、いくら優秀なコーチでも、「意識」や「心理」面まで、指導は出来ない。

最後は、己との闘いだ。

先の文面に、「反比例するかのように・・・」と書いたが、佐藤コーチに師事してからの浅田真央のスケーティングは、間違いなく、滑らかになってきている。何年か前のスケーティングを見ると、明らかだ。

選手を信じて、温かく見守っていくことが、ファンの役目かと思っている。

時に厳しくも、最後は温かく・・・どんな時も愛情は必要だと、私は感じている。

小塚崇彦の発案でチャリティーショーが開催されたかと思えば、夏ごろには東北で、被災者を無料で招待したいと、浅田真央。今度は、浅田の発案に小塚が乗る。

来季は、更なる2人の“相乗効果”を期待したい。

— 余談 —

そのチャリティーショー、盛岡か八戸が候補にあがっているようだ。近頃は、プリンスアイスワールドも、盛岡を飛び越え、八戸にもっていかれている。

岩手の被災者にも、フィギュアスケートファンはいるはず。チケットだけでも高値のフィギュアスケート。増して交通費を考えたら、なかなか手が出ないのが本音だ。

普段、テレビでしかお目にかかれない、浅田真央小塚崇彦を生で観戦出来るのは、最高の贅沢だ。

被災者にとって、ほんの一時でも、気持ちを和らげることが出来たら、いちフィギュアスケートファンとして、私も嬉しい。