銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

スポナビ+ブログから引っ越してきました。

メディアはどう取り上げるだろうか?—NHK杯女子シングル結果を—

女子のフリーが終わり、女子シングルの最終結果が出た。

フリーを見終わった昨日、ブログ更新しようと途中まで記事を書いた・・・「NHK杯女子フリー」と題して・・・だが、止めた。

今回のNHK杯—自国開催で男女シングルに日本人が三名ずつ参戦しているせいか、メディア的に海外勢の“目玉”となる選手がいないせいか・・・私の気のせいか・・・海外選手に対するスポットが少ないように感じた。地上波放送を見る限りの感想ではあるが。 明確に言えば、さすがにNHKと言えども、浅田真央高橋大輔に“頼って”いたような気がする。

昨夜夜中と言えばいいのか、今朝方と言えばいいのか、ペアとアイスダンスのフリーを録画放送していた。通しでは、まだ見てはいないが、断片的に目を覚ましながら見ていた限りにおいては、シングルに見られたような「浅田真央vs鈴木明子」「高橋大輔vs小塚崇彦」的な作りは無かった。

男女シングルが、どれ程関心を集めているか・・・いや、浅田真央高橋大輔がどれ程関心を集めているか・・・に尽きるのだと思う。

ワイドショーや雑誌、民放等のメディアは、「浅田真央、復調!」「真央復活の兆し」・・・等と、謳い文句を並べるのかも知れないが、刈谷アナが「復活と表現するのは、ちょっと違いますよね。自ら選択したイバラの道ですから・・・そこをまた一歩階段を上がったということですよね。」と、解説の八木沼純子に語っていたが、全くその通りだ。

浅田真央は、少しずつではあるが、昨シーズンより「進歩」を見せた。

フリー「愛の夢」は、浅田真央にとって、やはり“鉄板プログラム”だろう。ジャッジに研修する程、今の採点方法に熟知しているニコル女史が作り出すプログラムは、「どうすれば得点を稼げるか」に加え「どうすれば選手の良さを出せるか」といったことをかなり考えている。

テレビを見る限りでは、鈴木明子の方が、スケーティングの滑らかさやスピードがあったが、「愛の夢」が織り成す世界観と、浅田真央が演じる「癒しの空間」に、会場全体が固唾をのんで見つめていたのが、テレビを通してこちらにも伝わってきた。

無表情と言われた真央だが、フリーではよく“微笑んで”いた。無理矢理な笑顔ではない。自然に笑みが零れていた。ジャンプも大きなミスは無かった。トリプルアクセルをダブルにしたが、調子が上がらない時は難易度下げてミスなくまとめる策は、とても大事だ。確かコストナーも、そうやって自信を取り戻してきたと聞いている。

従来ならば、トリプルアクセルに拘り逆に「負の連鎖」を招いていた部分が無かったとは言えない。

だが今回は違った。そういった意味でも、本当の勝負師、スケーターになってきた何よりの証ではないかと私は思う。

そして、鈴木明子

世間やメディアは、鈴木明子が優勝したことを、どう評価するのか、どう扱うのか・・・分からない。

恐らく浅田真央寄りになるような気がするが・・・(苦笑)。

私は浅田真央を応援しているが今回、鈴木明子寄りだったのには“理由”がある。

浅田真央には、ソチ五輪で金メダルという目標がある。まだまだ競技スケーター人生がある。

一方、鈴木明子は違う。26歳という年齢はフィギュアスケート界では「ベテラン」と言われる年齢だ。この歳にして、3—3(ニ連続三回転ジャンプ)を成功させたことは、正直もっと称賛されても良い・・・と、私は思う。

話が逸れたが、鈴木明子には浅田真央のような「時間」はない。いつ現役引退しますと言われても不思議ではない程、競技スケーター人生は長くはない。

だからこそ、この二人が同時にエントリーしている大会なれば、どうしても鈴木明子の応援に力が入る。

「ジャンプ2つパンクしてしまって・・・昨日のショートに比べたら、納得いく内容ではなくて・・・」

(優勝したことを知らされ)

「・・・申し訳ない」

申し訳ない・・・こんなことを言う選手がいるか?

鈴木明子は、どこまで人が良いのか、正直なのか。

「申し訳ない」発言を受けて、すかさずインタビュアーの鳥海アナが、「そんなことないんですよ。」と笑いを誘っていたが、26歳の“ベテラン”が、今もなお開花し続けていることは、何より嬉しい。

浅田真央や続く若手にも、励みになるに違いない。