銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

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コーチの腕—3人の舞姫《真央、レオノワ、エレーネ》—NHK杯女子ショート

昨夜の興奮冷めやらぬ、といった状況ではあるが、余韻に浸ってなどいられない・・・女子は、今日のフリーで全てが決まる・・・

あぁ、女神よ。

幸与えたまえ・・・。

女子ショートプログラムを見ていて、鈴木明子にすっかり“魅了”させられたが、驚いたことがまだある。

演技を見た瞬間、「コーチ代えた?」と感じた選手がいた。

その名も、ズバリ

エレーネ・ゲデバニシビリだ。コーチ変更が「吉」と出る場合と「凶」と出る場合があるが、エレーネはまさに「吉」ではないか?

他に、今シーズンからニコライ・モロゾフに師事しているレオノワ

佐藤信夫コーチに師事し、二年目となる浅田真央

この三名について、書きたいと思う。

エレーネ・ゲデバニシビリ

本当に驚いた。

昨シーズンまでの彼女とは全くの“別人”なのだ。

それまでのエレーネの演技の印象と言えば・・・どこか野暮ったい感じがあった。顔立ちは可愛いし、グラマラス。背の低さを充分カバー出来る程、外見は悪くない。しかし・・・ジャンプが不安定だったこともあるが、演技自体がどうもパッとしない。時折、動画サイトで見るアイスショーでの演技は、とても可愛らしくもキュートでもあるのに、競技となると・・・コスチューム含めて、どこか垢抜けない印象が、私にはあった。

ところが、昨日のショートプログラムを見て、従来のコーチではないな?というのを一目で感じる程に「変身」していた。

ブライアン・オーサーか!

キム・ヨナと、いい別れ方をしなかったから、エレーネには力が入るのではないかと思う。スケーティングやスピンの速度が、昨シーズンまでよりレベルアップしている。見事な変化だ。“潜在能力”を充分兼ね備えているエレーネ。

流石と言わざるを得ない、オーサーマジック。

これから、どう変化していくのか非常に楽しみだ。

■アリーナ・レオノワ

NHK杯ではアリョーナ表記だが、アリーナと表記する場合もある。私はアリーナ表記で。

第一戦目では、全体的に元気がない印象だったので、「モロゾフ効果」もどれ程かと疑わしく見ていたが、単に初戦の緊張、あるいはプログラムに馴染んでいなかったに過ぎなかったのかも知れない・・・と、昨夜のショートプログラムを見てそう感じた。

NHK杯では、伸び伸びと元気に演じていた。昨シーズンまで見られたような「元気いっぱい」の振付けではなく、随所に女性を感じさせる振付けもなされていた。前回気付かなかったのだが、「女海賊」を演じていたのか。今回初めて気付いた。

不調の選手の潜在能力を引き出す能力に長けた、ニコライ・モロゾフ。今日のフリーの出来次第で、「さすが」と唸ってしまうことになるのか・・・レオノワには“自分らしく”演じてもらいたい。

浅田真央

佐藤信夫コーチに師事して二年目となる。当初、「佐藤コーチに師事したら、ジャンプがダメになるんじゃないか・・・」と、ファンの間では、佐藤コーチの手腕に心配する声も一部にあった。しかし・・・いくらジャンプが良くても、スケーティングが滑らかじゃないと全体的な評価は上がらないことを、浅田真央自身がよく分かってきたのではないかと思う。勿論、表現力など他の要素も大事なのだが・・・。

シェヘラザード。アラビアンスタイルのシェヘラザードは、初めて聴いた気がする。「お姫様」のようなコスチューム・・・と、自身が語っていたのを、私は全く違うスタイルを想像していたようだ(苦笑)。

初のパンツスタイル。痩せ過ぎた体型にパンツが少々痛々しいが、世界選手権からはやや肉付きされたようではある。だが、それでもまだまだ“細い”。個人的にはもう一回り肉付きが欲しいところではあるが、コスチュームの色合いとデザインは、昨シーズンまでのものより、ずいぶん良くなっていると思う。個人的には、スカートタイプの方が、好みだが・・・。

浅田真央ショートプログラムを初めて見たせいか、パンツスタイルを初めて見たせいか・・・アッと言う間に演技が終わってしまった感がある。正直、プログラム自体の印象はあまりない。

ただ、昨シーズンまでに比べたら、明らかに上達している。何しろ、今までは「不安な空気」が彼女を支配し、演技中もそれがまとわりついて離れなかったのが、昨日のショートでは全くなかった。だからか・・・あまり印象が残らなかったのは、「緊張しながら」見ずに済んだためかも知れない。スピンは圧巻だ。スケーティング速度も上がっていると思う。

フリーは、ローリー・ニコル女史の振付け「愛の夢」だ。ニコル女史は、浅田真央の良さを引き出すのが、本当に巧い。

佐藤信夫コーチに師事して間違ってはいなかった・・・現時点において、私はそう確信している。

フリーでは、心を自由にして、伸びやかに舞ってもらいたい。