それぞれの“背景”を感じないではいられなかった女子シングル— 全日本選手権大会 —
・・・女子シングルのフリーが終わった。少し、疲れた・・・。
私の母 「今回は真央ちゃんに勝たせてあげたい。でも、明子ちゃんも今まで踏ん張ってきてるし選手生活も長くないだろうから、表彰台に立たせてあげたいね・・・。」
今回は、応援する側もまるで何かに間挟みにされるかのような、何とも言えない心境だった。
昨シーズンまでは、浅田真央の出番になると緊張感いっぱいになり、私の家族も「緊張してきた・・・」とドキドキしながら、試合を見守ったものだった。
しかし・・・、
今シーズンの浅田に対しては全くそんな心配をする必要がない。
フリーの演技を見ていても感じたのだが、まるで何かを悟ったかのようなとても“穏やかな”表情なのだ。演技が始まるや否や、今シーズンの浅田真央は「別人」だ。昨シーズンまでの真央は、もういない。
父が珍しく書斎から下りてきた。(フィギュアスケートは放送時間が長いことと、最終グループ以外の演技にはなかなか興味がいかないらしく、さぁ見るぞ!という構えで応援することが、ほとんどないのだ。)
浅田真央や鈴木明子、村上佳菜子に関しては、主要な部分は断片的にしろそれなりに、父の目にもその演技は記憶されてはいる。それらの記憶をひもときながら、呟いていた。
(浅田真央の演技を見て)「上手くなったね。いい笑顔だ。いい表情している。滑らかなになったね。」
中野友加里が現役だった頃、彼女のスパイラルシークエンスの際に見せる“笑顔”を見るたび、父は「癒されるなぁ、、。いい笑顔だ。」といつも語っていた。
今までの浅田真央に対して、「いい笑顔だ。滑らかだ。」と言ったことのなかった我が父にも、浅田真央の“変化”は確実に伝わったのだ。
参戦するだけで「凄いこと」だっただろうに、いつも以上に冷静だったように見えたのは、やはりお母様が見守って下さっていたことと思う。
カメラが悔し涙を拭う明子を捉えていたが、私も悔しい。
大コケして、「笑ってしまうしかないくらい」と笑顔で吹き飛ばしていた佳菜子スマイルに、不思議と心が癒された気がした。
浅田真央の女神のような「愛の夢」に、日本全国のたくさんの人が涙したことだろう・・・。
私も堪えるのがしんどかった。
男子シングルのような、迫力ある試合とはいかなかったが、それぞれに色々な“思い”を抱えて挑んだであろう今大会。
きっと、いつまでも胸に残る・・・そんな試合だったと思う。
みんな、ありがとう。
※ 西野友毬、ジュニアとシニアを行き来していたようだが、やっと少し華開いたところだろうか・・・良かった・・・。この調子でいい年越しをして欲しい。