友人の言葉で我に返った瞬間 — スポットライトの向こう側 —
NHK杯のショートプログラムでベストパフォーマンスを魅せ、フリーでは少々崩れたものの、初優勝した鈴木明子。
私の周囲には、フィギュアスケート好きな人は、数少ない。日常会話の如く、フィギュアスケート話をする・・・といった環境にはない。
そんな中で、私の話をまるでスポンジのように吸収してくれる友人がいる。少しだけ“先輩”の彼女は、プロレスが好きなのだが、私は全く分からない。しかし、目を輝かせてプロレスの話をする友人を見ていると、話はわからずともこちらまで、嬉しくなってくる。最も、盛んにプロレスを観戦していたのは、学生時代だそうだ。テレビ放送もなくなり(夜中に時折放送される程度)、社会人になるに連れ次第に接する時間も減っていったそうだ。
そのプロレス好きだが、スポンジのように話を聞いてくれる友人に、鈴木明子の“初優勝”を興奮冷めやらぬ状態のまま、私はメールをしていた。
友人 「・・・フィギュアスケートは普段あまり見ないけど、明子ちゃんのことは知ってましたよ。」
友人 「よくラジオを聴くんだけど、たまたま聴いていたラジオにゲストで出演していて・・・ちょうど、拒食症を克服してリンクに戻ってきた頃なのかな?・・・アナウンサーがお目目が吸い込まれそうに大きいと話していたので、その後テレビで見て、すぐに明子ちゃんのことは分かりました。」
友人 「当時は、美姫ちゃんや真央ちゃんが活躍していた(活躍していた初期)頃で、明子ちゃんのことは全然知らなかったけど、その拒食症のことは・・・とても印象に残ってます。」
フィギュアスケートを普段あまり見ないにも関わらず、丁寧に私の話に付き合い返事をくれる友人には、フィギュアスケート以外においても、精神的にいつも救われている。
その友人の言葉で、印象に残っているものがある・・・。
友人 「優勝する一瞬の輝きに向かって、どれだけの苦しい時間を経てきたのだろう。スポットライトを浴びてる人を見る時、いつからかこの思いが、必ずよぎるようになりました・・・。」
ハッとさせられた。
ドキッとした。
鈴木明子が中野友加里(現フジテレビ社員)を僅差で押し退け、バンクーバー五輪選手に選ばれた時・・・一部巷では、鈴木明子へのバッシングがひどく渦巻いた。
○○を買収している!?
病気克服を宣伝材料にしている・・・。
何故、中野友加里じゃないんだ・・・。
八○長節、○○買収節・・・
今一度、友人の言葉を借りることにする。
「優勝する一瞬の輝きに向かって、どれだけの苦しい時間を経てきたのだろう。スポットライトを浴びてる人を見る時、いつからかこの思いが、必ずよぎるようになりました・・・。」
スポットライトの向こう側には、我々お茶の間の人間には計り知れない「努力」や「苦悩」、「葛藤」と必死に向き合っている人達がいる。
だが、“向こう側”に目を向けるということを、つい、忘れてしまいがちになる。
友人の言葉で、私は我に返った。
今週末には、グランプリファイナルが始まる。
友人の言葉を噛み締めながら、応援したい。