銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

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プルシェンコの意地と愛

欧州フィギュアスケート選手権にて、ロシアのエフゲニー・プルシェンコが、自己ベストで逆転優勝したとの情報が飛び込んできた。

早速、動画を探してショートプログラム、フリーと確認してみたが、何せ携帯電話の小さな画面ゆえ、エッジさばきや表情などの細かい点は、把握しづらかった・・・ということを、踏まえて当記事をお読みいただけると幸いである。

ショートもフリーも全体的にスピードがなく、彼特有の「訴えるような情熱」は申し訳ないが感じられなかった。トリノ五輪前後の勢いある神がかり的な演技が目に焼き付いている私としては、今回の選手権は正直痛々しくさえ感じてしまう程だった。

しかし・・・、

プルシェンコ、彼は本当に心からフィギュアスケートを愛して止まないんだな・・・ということが、小さな画面からでも思いっきり伝わってきたのだ。

かつての勢いはないかも知れない。何故なら、彼の身体はボロボロなはずだからだ。

今まで何箇所ケガしてきたのだろう?

今までどれほど手術してきたのだろう?

今だって、痛みを抱えているようだ。大事をとり世界選手権には参戦しないと伝えてきている。

愛して愛して、好きでたまらない・・・。

これほどに、フィギュアスケートを愛している選手がいるだろうか?

同時に、

こんなに身体を叩き起こしてまで、再び競技に立ち向かおうとするエフゲニー・プルシェンコの、「深い意地」のようなものをも感じずにはいられなかった。

本調子ではないせいもあるだろうが、いつもの「どうだ!?」と言わんばかりの燃えたぎる情熱を、強く押し出すことはなかったプルシェンコ

むしろ、“穏やか”にすら感じた彼の空気は、帝王や王者、皇帝とも言われてきた「強者」に、またひとつ新しい顔が加わったようにさえ見えた。

自己ベストでの逆転優勝とはいえ、かつてのプルシェンコから見たら必ずしも見事・・・とは言いきれないものがある。

それでもリンクに舞い戻ってきた彼に、スタンディングオベーションせずにはいられなかった・・・。

お願いだから、どうか無理はしないで身体の調子を1日でも早く回復させて欲しい。

少しでも、競技スケーターとしてのエフゲニー・プルシェンコを見つめるために・・・。