レクイエム — 安藤美姫の世界に浸る —
暖かい陽射しが降り注ぐ中、知人の葬儀は滞りなく終わった。
享年41歳・・・突然の訃報だった。
阪神淡路大震災を経験した彼女は、「乗り越えるんだ」・・・そう言っていたのを思い出した。
関西から岩手へきて、20年くらいだろうか。
昨年の東日本大震災は、どんな思いで過ごしたのだろうか・・・ふと、そんなことを思った。
葬儀が終わり、火葬が始まる頃には雨に変わった。まるで、悲しみの涙のように・・・。
誰かが亡くなると、
気分が鬱ぐと、
私は、安藤美姫のレクイエムに浸りたくなることが増えた。
私は安藤美姫の特別なファンではないのに、だ。
レクイエム— 鎮魂
試合で演じたレクイエムもいいが、どちらかと言えば、エキシビションバージョンの、長編レクイエムがたまらなく好きなのだ。
激しく荒れ狂う感情、
もがき、
苦しみ、
そして、
地面(氷面)に静かに倒れこむ、
ゆっくりゆっくり両手を伸ばしながら、
天空を仰ぎみる、
冷静と、
欲望と、
葛藤と、
悲しみと、
怒りと、
身体の奥底から爆発させて、静かな旋律に魂を慰める・・・
感受性が強く、人に苦しみ傷ついてきた安藤美姫だからこそ、演じられる世界観だと思う。
今夜もまた、レクイエムに浸り、安藤美姫の感情に身を任せている。
ニコライ氏よ、
このレクイエムを、
彼女に与えてくれて、
ありがとう。
心より、感謝申し上げる。
私の知人に、捧げたい。
合掌。