銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

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このままでは終わらない、終われない日本のエース — 高橋大輔 —

・・・どうした?何があった・・・?

競技人生初の、シーズン途中でのプログラム変更があった高橋大輔は、何かいつもと様子が違った。

ショートプログラムでは、あまり見ることのない強張った表情に、「やっぱり大輔にはシーズン途中でのプログラム変更は重荷かな?」そんなことも、頭をかすめた。

巻き返しをはかるべく迎えたフリーでは・・・。

— どうした?・・・何があった?・・・ —

あんなにジャンプが乱れまくる高橋大輔を、あまり見たことがないだけに、昨年末の全日本選手権鈴木明子の時のように、私は一瞬我を失った。

ショートプログラム変更が引き金だったのか・・・?

それとも、何か「不調」を抱えていたのか?

普段、あそこまでミスをしない選手が乱れまくるには、必ず何か理由があるはず・・・。

無意識に私は、その理由とやらを探そうともしていた。

フリー放映翌日の新聞には、「大会1週間前に、靴を替えた」とあった。

1週間前に靴を替えた?

何故・・・。

バンクーバー五輪の時だったと思う。靴ひもが傷んでいたのに気付いた長光コーチは、繊細な大輔には内緒にしたままこっそり靴ひもを交換していたエピソードがあった。

靴ひもの1本や2本くらいと思うが、交換すると感覚が違うらしい。

そんな感受性鋭い大輔が、何故1週間前に靴を新調したのか不思議だったが、よほど傷んでしまったのかも知れない。

他にも、どこか気持ちの問題があったようにも思う。

いつぞやは、スケート靴のビスが外れて、長光コーチはとても青ざめた顔をしていた。あの時の表情は未だに私の脳裏に強烈に焼き付いている。大輔はしきりに「大丈夫、大丈夫」と長光コーチに言っていた。

あの時は、ソチ五輪を目指すことを明言していなかった。現役を続けるか迷いがある中でのアクシデント。私は、「まだ現役を続けなさい」という神様からの試練だと感じた。

今回の試練には、どんな意味が隠されているのだろうか・・・?

高橋大輔は、このままでは終わらない。終わる男ではない・・・伊達に、日本のエースの称号を背負ってきたわけじゃないことを、おそらく彼自身が一番感じているに違いない。