銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

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感謝と笑顔を届けることに全力を注いだ-鈴木明子-

 表彰台に上がった、ソトニコワ(ロシア)、金妍児(韓国)、コストナー(イタリア)の3人の演技は、本当に見事だった。

 団体戦から間もなかった男子シングルのフリーでは、転倒する選手が相次ぎ、「これが五輪の舞台か」と少し残念な気持ちにもなり、スッキリしないものだった。団体戦が恨めしかった。

 しかし、男子よりは日にちがあいたことと、いざとなれば「女は強し」ということか、本当に見応えのある内容だった。

 勿論、フリーで「神演技」をした浅田真央も。彼女は、本当に「アスリート」なんだなと感嘆した。

 そんな中で、ノーミスの演技が出来ず、悔しい思いもしたであろうが、「現在の自分が出来る最善」を尽くすことに全力を注いだ、もう一人のキャプテンがいた。

 鈴木明子

 浅田真央安藤美姫らの陰に隠れ、マスコミからはいつも「第3の女」扱いだったが、この人も本当によく頑張ってきたなと思う。

 晴れの檜舞台である五輪に照準を合わせるのは、どの選手も意識していることだろう。入念に準備をして五輪を迎える…。

 しかしながら、何の悪戯か神様が彼女に試練を与えたようだ。

 足の痛みの悪化…。

 男子の高橋大輔は、全日本選手権前に足を痛めた。それさえなければ、おそらく順位はもっと上になっていたかも知れないが、五輪の試合後のインタビュー記事を見ると、メンタル的にも五輪に合わせてくるのがとてもきつかったと言う。

 鈴木明子の演技を見ていたら、ふと、大輔のことを思い出した。

 ショートプログラム当日の朝の練習で、鈴木は号泣していたという未確認情報もあった。ここにきて、急に痛みがひどくなったらしい。

 腹をくくったのだろう…。

 笑顔でフィニッシュ出来るように、感謝の気持ちが伝わるように。

 「愛の讃歌」…情熱を表すかのような真っ赤なコスチュームが、リンクにとても映える。

 頼むから、痛みが悪化しないでほしい、何とかフリーまで持ちこたえて欲しいと、祈りをこめてテレビの前で応援した。

 冒頭の3トウループ-3トウループセカンドジャンプがつけられずおまけに2回転扱いになった。ここで点数がかなり低くなってしまったが、2回目のジャンプの要素でコンビネーションにした。

 何とか踏ん張った。

 ショートプログラム「愛の讃歌」は、他の誰よりも輝いて見えた。

 そして、迎えたフリー「オペラ座の怪人」。

 浅田真央が見事な「神演技」を見せたのに対し、鈴木は完璧な演技は出来なかった。

 それでも、終始「笑顔」を届けよう、感謝の気持ちを届けようと、クリスティーヌになりきって、4分の舞台を見事に演じきった鈴木には、浅田とは違う意味での、感動を覚えた。

 足の痛みさえなければ、バンクーバー五輪での「8位入賞」という順位をもっとあげることは出来たと思うが、同じ「8位入賞」でも今回の入賞にはとても大きな意味があるように思えてならない。

 28歳、しかも日々向上していった鈴木明子には、月並みだが「ありがとう」という言葉しか思い浮かばない。

 目立つタイプではないが、人知れず努力してきたその姿は、邦和っ子達も受け継いでくれるだろう。

 全日本選手権の演技は「神演技」だった。五輪でその演技が再び花開くことはなかったが、「遅咲きでも大丈夫」と、全国のどれだけの人が勇気をもらったか分からない。

 僭越ながら、感謝の気持ちを込めた金色に光り輝く「バレンタインチョコ」を、授与させていただこう。

 授与式…鈴木明子様、あなたは病気を乗り越え、28歳まで、よくぞここまで頑張ってこられました。ここに、溢れんばかりの愛と感謝の気持ちを「黄金のバレンタインチョコ」にして、捧げるものであります。

ソチ五輪「8位入賞」おめでとうございます。

あなたの未来が末永く、光り輝くものでありますように…。

 感謝。

 y-love。