銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

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宮原知子の「成長」を感じさせたGPファイナルのショートプログラム

思ったより得点が伸びなかった…昨日放映されたフィギュアスケート「グランプリファイナル」の女子ショートプログラム宮原知子の結果を見て、そう感じた人少なくなかったのではないだろうか?

実際の演技を見ていての個々の人々に宿るイメージや感想と、はじき出される得点とが、必ずしも一致しないのがフィギュアスケートの特徴と言ってしまえば味気なくも感じるものだが、後に出されるプロトコルを「冷静に」分析すれば、納得出来る部分もあるのかも知れない。

が、バンクーバー五輪前後でプロトコルを分析することの、何とも言えない「つまらなさ」に襲われて、もはやそういった細かい点には意識を集中させないことにしている。

色々あった…フィギュアスケート

このブログも「どうしたもんかな」と継続することを躊躇した日々もあった。が、閉鎖せずここまで続けてきているのは、読み続けてくださっている方々がいらっしゃるということ、コメント投稿システムが煩わしくなる以前には、たくさんのコメントを頂戴したということ、また「無言の応援」(コメント投稿するアクションは起こさずとも、愛読してくださっている方)の存在もあるであろうということ、こういったことが私の背中を押してくれている要因であることは、まぎれもない事実。改めて、感謝申し上げたい。

ありがとうございます。

そして、

もう一つの要因。

グランプリシリーズにおける本郷理華の大躍進、今回のグランプリファイナルにおける宮原知子の成長、こういったことがあると私は筆を執りたくなる心境にかられてしまうのだ。「何か言いたくてたまらなくなってしまう。」あるいは、「この興奮を分かち合いたい」そんな思いにすぐさま支配されてしまう。

本題に戻すことにする。

おそらく、グランプリファイナルにおける「総合成績」はすでに分かってしまっているかも知れないが、テレビ放映はまだなので私は宮原知子の結果については、昨晩放映されたショートプログラムの結果しか分からないから、このことについて言及したい。

冒頭にも記載したが、演技を終えての会場全体の興奮に満ちたような空気感と、実際にはじき出された得点には、多少の「ズレ」があったような印象を持った。

(後に、ジャンプでエッジエラーをとられていたことが判明したようで、本人もジャンプに納得出来ていないとコメントしていたので妥当な得点だったのだろうけど。)

普段なら、ショートプログラムで68点代と言えば、決して低い得点ではないが、グランプリファイナルでは、全体的に得点が高くなる印象がある。6人出場し競うなかで、女子ショートプログラムの全員の得点は、全て「60点以上」だった。その中で、「68点代」の宮原知子は、自信を持っていいと思う。

私が一番驚いたのは、会場全体の宮原への「大応援」だった。

宮原のショートプログラムの楽曲、「ファイヤーダンス」はフラメンコを彷彿させるが、「リバーダンス」の中からの曲で、リバーダンスと言えばアイルランド音楽を中心としたもの。リバーダンスと言えば、今季、本郷理華もフリーで演じているが、こちらの「ファイヤーダンス」は、かつて鈴木明子も演じていた楽曲。宮原の方がフラメンコを感じさせるような振付で、それぞれに違った魅力がある。

宮原知子と言えば、「地味」で「華がない」等という印象を持たれがちで、ジャンプの高さがないため、GOE(加点)も出にくいだろうなと思っていたが、今季の彼女の演技を見ていて感じるのは、「自信がついてきたな」ということだった。

初出場というグランプリファイナルにおいても、見た目には「堂々としている」ようにすら見てとれるほど、落ち着いて演技をしていたと私は感じた。

少しずつではあるが、好成績を残していく中で、自信もついてきたのだろう。加点は低いかも知れないが、ジャンプは常に安定感があるように思う。「大丈夫かな?飛べるかな?着氷出来るかな?」等と、こちらが不安に感じる必要などない。それくらい、宮原のジャンプはいつも安定感抜群である。

今回、その安定感ある正確なジャンプが、エッジエラーをとられたということだが、「68点代」は決して低い点数ではない。何より、スペインの観客を魅了出来たということは、自信を持っていいだろう。

マスコミが追いかけたくなるような、ファンが黄色い声を出したくなるような、そんな目立った華はないかも知れないが、コーチも何度も言うほど彼女は「努力の人」なんだなということが、彼女の演技を見ていてよく分かる。私なんて、関係者でもなんでもないけれど、本当に「努力の人なんだな」ということが、テレビ画面を通してさえも感じとることが出来るのだ。

宮原知子の身長は私とそんなに変わらない。ということは、私も「こんな小さいのかぁ」とため息をついてしまうが、宮原と違って態度がデカいせいだろうか(苦笑)、「そんなに小さかったんですか???もっとあると思ってました。」とはよく言われるが、同じような身長の宮原知子が、こんなに頑張って表彰台にのって、ジャンプくるくる飛んでおりて…凄いなぁ…と、純粋に感動したのだ。

世間では、羽生の凄さや浅田の復帰に思いが集中しているかも知れないが、私は、本郷理華宮原知子のような、「そこまでマスコミが注目していない」選手の頑張りにこそ、「身の丈の感情」を抱いてしまう性分なのだ。

羽生や浅田は、ある意味「天才的」な部分がある、天性のタレント性といったものもある。私のような凡人がいくら背伸びしてしても届きやしない。

が、宮原知子のような「努力の人」の演技は、私のような凡人の心を突き動かすものがある。「宮原ちゃん、背ちっちゃいのに頑張ってんな。私も頑張らないとな。」と。

元々逆回りだったジャンプを矯正して今の回転になったそうだが、もっと「高さ」が出るようになれば、加点もたくさんつくだろうになと思う。

日本では目立たないかも知れないが、スペインの観客を魅了し、得点が出た際にはジャッジに対して観客がブーイングするなど、着実に力を伸ばしてきている。

もっともっと飛躍して、次世代の女子シングル界を賑わしてくれたらと願う。