銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

スポナビ+ブログから引っ越してきました。

エヴァン・ライサチェクとジョニー・ウィアーの存在感

この二人を欠いた全米フィギュアスケート選手権2011だった。

男子シングル。

当ブログ記事(1月31日付け)でも、既に結果はお伝えしてあるが、改めて思う・・・。

エヴァン・ライサチェク

ジョニー・ウィアー

この二人は、強かったんだなと。

昨年のバンクーバー五輪の最中から後からと、男子シングルでは「4回転論争」が勃発した。

ご存知、エフゲニー・プルシェンコが「銀メダル」になり、その後吠えだした件だ。

その吠え方にかなりの「賛否両論」があったが、私はプルシェンコを支持する立場を取っている。

4回転論争がなければ、今どんなフィギュアスケートを楽しんでいただろうか・・・?

どんなフィギュアスケートを、見つめていただろうか・・・?

ライサチェクは、かつて4回転を跳んでいる。出来ないんじゃない、しないだけだった。ケガをしたり体調を崩すことがあり、4回転の成功率が低くなっていったため、所謂「安全策」をとり、敢えて回避したという。

勿論、プルシェンコは彼ひとりをどうこう揶揄したのではなく、あまりに安全策や無難な策に走っているフィギュアスケート界に、警鐘を鳴らした。

人一倍、フィギュアスケートを愛する者として、「進化しなくなる」フィギュアスケート界を、見ていられなかったに違いない。

警鐘の鳴らし方に、賛否両論あれども、確かにあのままでは、「スポーツ」としてのフィギュアスケートは、やがて見向きもされないスポーツと化した可能性は、計り知れないものがあった・・・と、素人の私でもそう感じていた。

だから、「根幹」の部分では概ねプルシェンコの意見に、私は賛同している。

とは言え、傍らで「4回転を跳ばないチャンピオンなんて・・・」と言われたら、気にならないはずはなかっただろうと思う。

一方・・・

ジョニー・ウィアーは、バンクーバー五輪で素晴らしい演技をしたが、高橋大輔に銅メダルを持っていかれてしまった。

今年になって、彼は自分が「ゲイ」であることを、カミングアウト(告白)したらしい。その件で、アメリカ国内では、日本で言うところの「ワイドショー」だろうか・・・かなりの反響を呼んでいるそうだ。

フィギュアスケート界に、ゲイは珍しくも何ともないし、ジョニーの雰囲気でおよそ、「想定内」の事実であるにも関わらず、何故そこまで周囲がエキサイトするんだろうか・・・?

前にも、ジョニー・ウィアーを記事に取り上げたが、彼は他に類を見ない「逸材」であると、私は思っている。フィギュアスケートは、スポーツであると同時に、「魅せる」競技でもある。ジョニーのような「表現力」は、一般のファンにも、親しみやすい。

ジョニー・ウィアーの演技を見て、フィギュアスケートのファンになろう!

そう感じた人も、少なくはないだろうと思う。

しかしながら、「アメリカ人の癖」に、ロシア贔屓なジョニーを、許せないアメリカ国民もいるようだから、未だに「冷戦」の後遺症が色濃く残るアメリカにとって、「ゲイ」であるとカミングアウトしたことすらも、いちいち大きく反応してしまうのかも知れない。

今季、ライサチェクとジョニーの両名は、競技を休んでいる。

二人とも、様々なアイスショーに出演しながら、来季以降の戦略を、じわじわと練っているに違いない。

・ 4回転を跳ばないチャンピオンなんて・・・

・ ゲイなんて・・・

二度と言わせてなるものか と、虎視眈々と様子を伺っているかも知れない。

エヴァン・ライサチェク:全米選手権 優勝2回、2位2回、3位2回

ジョニー・ウィアー:全米選手権 優勝3回、2位1回、3位1回

ジェレミー・アボット:全米選手権 優勝2回、4位3回

ライサチェクとジョニーを欠いた全米選手権は、やはり寂しい。

いや、全米選手権じゃなくとも・・・。

二人とも、競技生活に復帰する意向を示している。

来季は、是非とも「雄姿」を見せて欲しいと思う。