銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

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ひとつの時代の終わりを告げた―高橋大輔のソチ五輪―

 男子のフリーが終わった。

 私は岩手県の人間であると同時に、東北の人間でもある。今回の羽生結弦の「金メダル」には、心から拍手を贈りたい。

彼のことについては、また後日書きたいと思う。今回は、どうしても「この人」のことを取り上げておきたい。

 高橋大輔

 今シーズンで競技生活にピリオドを打つと決めた大輔は、サブコーチに「ニコライ・モロゾフ」を迎え入れ、周囲の度肝を抜いた。

 世界でトップに立つためには、外国人コーチの手助けも必要と考えての結論だった。

 しかしながら、今シーズンはなかなか調子が上がってこなかった。

上(パトリック・チャン)もいる、下の世代(羽生等)も突き上げてくる、そんな中で、今まで日本の男子シングル界を牽引してきた彼のメンタルは、ギリギリのところにあったのかも知れない。

 「勝つためには4回転を入れなければ」と、大怪我からの復帰以降、成功率が低かった4回転に、果敢に挑んでいった高橋大輔は、何の悪戯か、全日本選手権前に古傷を痛めるというアクシデントに見舞われた。

 棄権しなければいけないほどの深刻な状態だったというその足の具合は、私が思うに「万全」ではなかったように感じた。

 今までの大輔ならミスしない部分で、ミスが目立った。細かいミスが。

 夕べのフリーは、第3グループの滑走からテレビ観戦したのだが、うん・・・「大輔ここにあり!」という、いつものオーラみたいなものは、影を潜めていたように見えた。

 何かが、おかしい・・・口には出さないけど、やはり足の調子が思わしくないのだろうと思った。それに加えて、例のゴーストライター問題。

何故、こうも試練が襲うのか。

 今更ながら、何故、「ヴァイオリンのためのソナチネ」で、何故、「ビートルズメドレー」だったのか・・・。集大成には、もっと他の楽曲があったのではないかとシーズン最初から感じていたが、私の好みの問題だろうと敢えて言葉にはしてこなかったが、フリーを見終えても、その印象に変化はない。

 しかしながら、全日本選手権でボロボロだった状態から、よくここまで立て直してきたものだと思う。さすがだ。

 羽生の金メダルは物凄い「金字塔」だが、その金字塔には多くの先駆者たちの口惜しさだったり、経験だったりが、土台となっている。

 ゾーンに入った時の高橋大輔の凄さはこんなんじゃないが、「笑顔」を見せてフィニッシュしてくれたことが、せめてもの救いである。

 フリーを見終えて、涙が止まらなかった。

 大輔、お疲れ様・・・本当にありがとう!

 心から拍手喝さいを贈りたい。