銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

スポナビ+ブログから引っ越してきました。

「勘」— 鈍い感覚の先に見せられたもの —

男子のショートプログラムが終わり、高橋大輔の演技を見るにつけ、私は彼の身体から、何故か「哀愁」を感じていた。

マンボの楽しいノリノリな曲のはず・・・それなのに、どういうわけか、私はちっとも楽しくなかったのだ。完璧ではなかったけれど、目立ったミスはない、ショートプログラムだった。震災の後、よくぞここまで、仕上げてきたものだと、そこは流石だと思う。

しかし・・・

本当に不思議だった。全然嬉しくも楽しくもないのだ。最初は、私がまだ震災を引きずった心で、見つめているせいだと思っていたのだが、昨夜次第に、大輔から「哀愁」を感じてきて仕方なかった。

その何となく「鈍い感覚」— 勘 —というやつが、どうやら当たってしまったようだ。

職場の同僚に、「高橋大輔は表彰台何位かな?」と聞かれ、私は「うまくいけば2位か3位だろうけど、うーん、表彰台はのれないかも・・・。」そう、答えたばかりだった。

まさか、靴にアクシデントが起こるとは・・・。

毎晩確認を怠らなかったという大輔。これぞ、「想定外」と言わざるを得ない。

だが、

アクシデントがあった場面からプログラムを再開した大輔は、その後のジャンプにミスがあろうとも、今まで魅せたことのない程の、「渾身」のステップを踏み、ノーミスな演技に決して負けてはいない 迫真の演技を、私達に魅せてくれたと思う。

長光コーチの青ざめた顔が、事の深刻さを物語っていたが、ここで終わるような人間ではない、高橋大輔という男は。

きっと、リベンジする。

おそらく、神様が与えた「試練」だろう。想定外のアクシデントというものは、、。意味があるはずだ。

年下男に興味のない私を、ぐっと引き付けた大輔に、ファンの身勝手な「願い」(現役続行)を、つい、託してしまいたくなる。

弟分の小塚崇彦が敵をとってくれたことは、今の日本にとっても、私にも、とても救いである。

— 甦れ、日本! —