銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

スポナビ+ブログから引っ越してきました。

競技の中に垣間見る“選手の息遣い”が、気持ちを釘付けにする — 一瞬のアーティスティック —

・・・つるの剛士は、こんなにも人の心を鷲掴みにさせる歌い手だったのか・・・見直したよ、今までごめん・・・。

歌い手には、「歌唱が優れた人」と「人の心を惹きつける人」が存在するように、フィギュアスケーターにも、「技術が優れた選手」と「人の心を惹きつける選手」が存在する。

勿論、両方とも優れた人も存在するわけだが、技術と人の心を打つという分野を兼ね備えている人は、そう多くはいないと思う。

関ジャニ∞の「仕分け」番組が、かなり視聴率がいいそうだが、私は彼らのユニークな個性に惹かれていつしか番組を見るようになった。(断っておくが、ジャニーズ好きはだいぶ昔に卒業している。)

ここで、つるの剛士は歌うま芸人に4連勝した。採点が出るカラオケを使っての勝負。今まで何人もの「プロ歌手」が歌うま芸人に負けてきたと言うのに・・・つるの剛士は、「感情を込めた歌い方」を変えることなく歌い、4戦とも高得点を叩きだしたのだ。

つるの 「感情を込めても高得点が出ますから、皆さんももっと感情込めて歌っていただけたら・・・」

つるの剛士の話題から入ったが、

フィギュアスケーターも、ある部分においては歌い手と何ら変わりはないと、私は見ている。

高得点を出すために、各選手も選手陣営も必死に研究し、日々練習に励んでいる中で、そこに固執しすぎるあまりに固くなり、「らしさ」を出し切れず不完全燃焼してしまう選手を、テレビ画面を通じて何人も見てきた。

技術と表現力。

この2つが揃って初めていい点数が出るのだが、両方揃えてくるのがいかに至難の業かということを、お茶の間にいる私はつい、忘れてしまう。

プロの歌い手とアマチュアフィギュアスケーターを同じスタートラインに立たせて論じるつもりでは、勿論ない。

だが・・・

つるの剛士の「本気の歌声」は、間違いなく私のハートを直撃した。会場のお客さんも泣いていた。

高橋大輔も、

羽生結弦も、

小塚崇彦も、

織田信成も、

彼らの「本気のスケーティング」に、皆、興奮し、笑顔になり涙するのだ。

アイスショーでないことは分かっているが、試合の緊張感漂う中に、選手の何とも言えない「息遣い」を私らは氷の上から感じとりながら、その一瞬の「深い呼吸」に見る人それぞれに、色んな色を重ね、ドラマを感じては、競技の中にも「アーティスティックな瞬間」を楽しんでいる。

その、アーティスティックな瞬間を感じさせてくれる選手・・・と言うよりは、「演技」を、私はつい心待ちにしてしまうんだと思う。

つるの剛士の歌声を耳にしながら、私の脳裏はそんなことを感じながら、高橋大輔を思い出していた・・・。