迷走は虹の彼方へ — 高橋大輔・鈴木明子 —
本人が目指す領域から見れば、まだまだ完璧ではないのかも知れない。
しかし・・・、
通しで見たのは今回初めてだが、これを見る限りでは、昨シーズンまでの「スロースターター」大輔の面影など、どこにも感じられなかった。
シーズンは始まったばかり。ファイナルに向けて徐々に調子をあげていく選手達。“最高のプログラム”と化すのは、まだまだ先の話だ・・・と、のんきに構えていたら、見事に“裏切られた”。
ナンダロウ?コノセイジャクトヤクドウノハザマニアル、タマシイノサケビト、アツクモキレアジスルドイ、タメンテキナ“カオ”ヲシズカニミセツケル“エンギ”ハ・・・??
私だけが勝手に感じていることかも知れないが、怪我する以前の調子の良かった時期、あの頃の高橋大輔は演技中に所謂「ナルシスト」的な表情を魅せる瞬間が度々あり、私はそれがたまらなく“愛おし”かった。
久しぶりだ。
あの頃の“愛おしい”感覚に襲われたのは、、、。
— ダイスケガ、モドッテキテクレタ —
ふと、そう思った。
高橋大輔の本当の意味での「勝負」というものは、“己との闘い”であるということを、強く感じさせられたショートプログラムだった。
そして、
鈴木明子。
コスチュームやメイク、演技内容から、昨シーズンまでの「控え目」で「地味」なアッコは、姿を消しつつあるように思えた。
確かにジャンプはミスしたが、全体的なスケーティングのスピードは、速かったのではないだろうか?
グレーという地味な色合いのコスチュームだが、リンクでの演技は、決して地味ではなかった。
成功はしなかったが、ニ連続三回転にチャレンジする“攻め”の姿勢も見られた。
—コノママデハ、オワレナイ—
来季(2011年〜)以降の現役続行をさほど強くは考えていなかった昨シーズンの鈴木明子は、シーズン後半から次第に不調に見舞われた。ジャンプに悉く嫌われた。
演技自体も、持ち前のハートが感じられるものでは、到底なかった。
さすがに、「このままでは終われない」心境になった鈴木明子。
スケートカナダでは、持ち味のステップで笑顔も見られ、軽やかに氷の上を舞っていた。
ミスがあったがそれは、これからに“期待の持てるミス”だったように思う。
高橋大輔に
心に迷いを抱いていた悩める二人のスケーターにもはや、“迷走”は見られない。
七色の光のように、もっとグッと光り輝いて欲しい。