銀盤の舞-フィギュアスケートエトセトラ-

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ガラスの心臓が割れない高級ガラスになった、高橋大輔

 2月3日のNHK サンデースポーツ内で、高橋大輔の特集が組まれていた。今週8日に開催される「四大陸選手権」またその先にある、

ソチ五輪を見据えての、日本のエースの対策といっった内容だった。

 言わずもがな…4回転ジャンプの成功率を上げるということに尽きるという内容だったが、ジャンプ直前の右足の置き方が、成功か否かの明暗を分けていたということは、今回私は初めて知った。

 高橋大輔に関しては、何度もブログで文字を紡いできたが、改めて

彼の強さのポイントについて書きたい。

 今回重きを置きたいのは、ズバリ 「自分の弱点を素直に認め、相手の強さを素直に称える」ということ。

 女子シングルにおいては、「女」という単純に見えて複雑な思考を秘めたジェンダーが、簡単には垣根を壊さない、内を見せないといった側面からなのか、男子シングルほどの「素直さ」を感じることが、あまりない。そのため、選手同士が何をどう思い感じているのかが、実はよく分からないのだが、男子は比較的「言葉に出して」くれるから、分かり易くはある、女子よりは。

 高橋大輔に関して、

 羽生「まだまだ雲の上の存在で・・・」(表向きだろうと何だろうと、エースと認めている。しっかりと言葉に出して、追いつけるように頑張るというところが、好感度をアップしていると思う。)

 羽生結弦に関して、

 大輔「いやぁ~、強いっすね。」(4回転ジャンプを美しくバンバン決めていく羽生を素直に認めている。勿論、悔しさもあるんだが、それはそれ。羽生の快進撃を称えながらも、エースの意地を見せることを決して忘れはしない。)

 追われることに焦りを感じない人間はいないと私は思う。

 「何とかしなきゃ…」と誰しも思うだろう。

 時には、「負けを認めたくない」先輩の嫌なプライドが顔を覗かせることだってあるはずだ、人間だもの。

 だが、高橋大輔たる男は、

 負けは負けと認め、弱点は弱点と認め、相手の強さは強さと認め称える…潔いのだ、我々の見ている前では。

(見えないところで、うじうじしてくれるのは構わない。私的な場面までエースを背負い込んでくれなくてもいい。)

 羽生も若いのに、賢い男だ。

エース大輔にとって、羽生の存在はむしろ「功を奏している」と言えるのではないか?

 でなければ、いくら高橋大輔と言えども、モチベーションを保ち続けるのは容易ではなかったはずだ。パトリック・チャンの存在も、勿論あったことは確かだろうが…。

 ニコライ・モロゾフにかつて師事していた時は、全てコーチの指示に従わなければいけなかったが、急遽袂を分かつことになって以降、

「全て自分で考えて」行動する必要に迫られた。

 たくさんの国際試合への参戦、表彰台の経験が彼の度胸を座らせた要因だと思うが、「自分で考えて」行動しなければいけない状況に追い込まれたことも、ガラスの心臓と言われた大輔を、ここまで大きくさせたのではないか…と、私は考えている。

 ガラスの心臓から、今は「特殊加工の割れない高級ガラス」で補強されたスペシャルな心臓になった日本のエース、高橋大輔

 - ワイルドだろ?(笑) -